文字打つブログ

主に本と映画の感想を書くブログです。

2.「もの食う人びと」

「食はその人の民族性・内面性を表す」
と私は考えている。
ゆえに他者の食が自らのそれと
類似してあると強い親近感を覚えるのだ。
そして、食とはすべての人間に共通する行動である。乞食であれ。娼婦であれ。政治家や
ビジネスマン。ジャングルに住む少数民族

誰しもが「もの食う人びと」だ。

 

 

著者である辺見氏は

人びとの現実の食。
記憶の中の食を喰らうため。
スラムに行く。
戦場に行く。
エイズはびこる村へ行く。
放射線の中に進んで行く。
修道院へと行く。
冒涜的とまで捉えられる
著者の食への探究心。
それによって垣間見える
人々の食事。
人々の人生や生き方。
この情報の洪水に
私の頭は整理が追いつかなかった。
読み終わったあとには、

興奮といえば良いのか混乱といえば良いのか。

とにかく至極心がざわついていたのだ。

 

放射能まみれの食や泥水で作った食。
それしか食うことができず
食べることにより「生」を受諾しながら
「死」に近づいていく人々。
二律背反、矛盾もいいところだ。
日本、それも東京という「世界最高レベルの無菌室」で育った私には、それがとても理解し難いことに感じた。

 

陳腐な感想かも知れないが
もっと世界を見なくては、いけないと感じた。
それも、アメリカやイギリス、中国の様な
華やかで清潔な物ではなく。
目を覆いたくなる様な。

そこにあるのを認めたくないような

世界の暗部を見なくてはならないと感じた。

 

PS.夜中にこれ読むとクッソ腹減る